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大老人生観(しんじるみち)

 十月二十六日、国立劇場へ『大老』を観に行く。大老とは、井伊直弼のことである。
演じるのは、播磨屋である。
歴史上の人物として、安政の大獄を行なったこともあり、印象としては悪い。
ただ、脚本か、それとも播磨屋の演技か、それを忘れさせる。
むしろ、自らの人生とその生き方、例えば、恵まれなかった若い頃や大老になってからの苦労を重ねてしまう。
権力と金が結び付いている今の政治家には、耳の痛いことばかりに違いない。
思えば、人生残り二十年である。
社会に出て、好きなことをしてきたか、と問われれば、趣味以外、仕事は完全に食べるためだけの手段になっている。
楽しさはなく、子供の頃からの夢が叶った人間は少ないだろう。
人生を計画せよ、というものの、数ヶ月先の計画は見えるけれど、数年先というと完全に分からない。
そうした折り、この不況である。ふと好きなことを、と考える。
職場にいても未来が見えず、ならば、残りで好きなことをしてみるのも悪くない。
尤も、それを熟考しては、決心は鈍りそうである。
(第千九百三十六段)
by akasakatei | 2008-12-18 19:00 | 文芸 | Comments(0)
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