ある雨の日、前方より鮎釣りに使うような傘を被った若者が来る。足元は雪駄である。
これは理想的な姿である。
手に傘を持つことがないので、両手が空く。
更に、蓑でも付けると、着ている物も濡れない。
こうした姿は、ほとんど見掛けなくなった。
学生にしても、従来の学生服は少なく、ネクタイにブレザーが主流である。
そういえば、高校時代、旧制高校生の服装をしている人がいた。
鵠沼の大家の門下だから、昔風にいえば、兄弟子になる。
そのような人もいたほどだから、学校の姿が分かろうというものである。先日、ふとしたことで、大家が校長時代のあるインタビュー資料に触れる機会があった。
校長の発言の中に、生徒が問題を起した場合、学校はどうだったかをまず考えるとあった。
今の母校に、これは望めない。金儲けに走る大学の言いなりである。
(第千八百五段)