仕事場付近の氏神は、山王である。
その祭りには、故郷より近かったこともあり、子供の頃より、足を運んだ。
ただ、隣の地域の氏神なので、距離的には離れていないものの、随分遠い場所へ来たと感じたのを覚えている。
子供だったからに違いない。
今、その祭りの最中である。
氏子の戸口には、飾りが掛けられている。それを担うのは頭らである。
氏子のほとんどは法人で、建物はビルとなっている。
やや風情に欠ける面もあるけれど、その準備段階より祭りへ向けて、段々と町の雰囲気が変わっていくのは面白い。
そうした中、飾りがないところもある。
チェーン店である。
寄付金を払うのが勿体無かったのか。
祭りは、地域へ溶け込むひとつの機会である。地域を愛さない店へ、地域の人が足を向けるであろうか。
(第千七百七十七段)