ある知人が、小学校において子供の前で紹介されることになった。
というのも、この知人が小学校にシルバー人材として派遣されているためである。
その仕事は、小学校内の巡回である。不審者を見張っている。
知人によれば、子供に紹介されるのは良いものの、問題がひとつあるという。
それは、挨拶時に帽子を脱ぐことだという。何でも、鬘のため、帽子と一緒に脱げるのではないかと心配しているらしい。
自宅で、その練習もしているとのことである。
こうした話しは、漫画の中だけと思っていたところ、実際には、その後の調査で、かなりの確率であることが分かった。
ある人は草野球で捕手をしており、マスクと帽子を取った途端、鬘も脱げ、また、別の人はテニスで発覚したと話してくれた。
何れにしろ、そうなった日には、一年生もいるのだから、六年間は話題になるに違いない。否、伝説として語られる可能性さえある。
これは、逆にいうと、滅多にない機会なのかもしれない。
どうなるか興味深い。
(第千六百八十四段)