先日、名古屋で美濃の役人と会った。十年振りである。
その際、生まれ育った土地が、個人へ及ぼす影響について、話題になる。
役人もまた、大学を卒業と共に、生家へ戻った。
結論的には、自己形成において、かなり重要ということになった。
東京へ戻った後、東京を記した書物を探す。
昨今、様々な本が出ているものの、やはり面白いのは、昭和五十年前後に書かれたものである。
バブル以降に出版された本については、作者の経験を絡めていないためか、読んでいても温かみを感じない。それに、ここでいう作者も、文壇関係者が少ない。フリーライターがほとんどである。
必然的に、建物や施設などの解説となる。
ひと昔前の本は、プライバシーが煩くないこともあり、交友関係も描かれ、興味深かった。
これにより、描かれた文士の作品も読んでみようという気分になった。
ひとつの作品からの発展があった。
(第千六百七十九段)