屋形船での席は、末席である。すぐ隣りには、飲み放題のテーブルがあり、入れ替わり立ち代り、人が訪れる。船が揺れる度に、挟み損なった氷が飛んでくる。
屋形船は、二回目である。十五年以上前、仕事場の親睦会で乗った。その時はあまり揺れた記憶がない。
この日は、船があちこちより集まるので、東京湾ではその波を受ける可能性があり、すぐには東京湾には入らない。一時間半ほど隅田川で碇泊する。
それでも、船酔いの人が出る。
天婦羅や刺身、鮨などが並ぶが、ひとりでの参加のため、黙々と食べるしかない。
飲み放題とはいえ、ひとりではそう飲む気もしない。
第一、肝心の花火の時に、トイレへ行きたくはない。
十八時半、東京湾へ移動し、場所を探す。海上には、船があちこちにいる。
始まる直前、デッキが開放され、屋形船の屋根に移る。ここで、花火を満喫する。
(第千四百六十五段)