雛祭りには、女の子がいる家庭の多くで、雛人形は勿論、散らし寿司や蛤、白酒、そして菱餅、雛あられを用意するだろう。
男兄弟しかいない家庭では、話しにしか聞いたことがないに違いない。
このため、桃の節句といっても、印象にはない。
小学校の給食で、この日に雛あられが付いて来たことだけしか覚えていない。
尚、五月の節句は、休みのため、柏餅や粽が出たことはない。
ただ、子供心に不思議だったのは、三月三日がどうして休日でなかったのか、また、五月五日は男の子の日なのに、子供の日というのは何故か、などであった。
そういえば、思い出したことがある。幼稚園の頃か、従姉が親に連れられ、着物姿を祖父に見せに来たことが一度だけある。
その時、集合写真を撮った。
この写真が後に、写真嫌いにさせた。というのも、後日、偶然にネガを見てしまったためである。それは、実際の写真と比べ、明暗が逆となる。恐怖を覚えた。
(第千二百九十八段)