故郷では出前をよく使った。地元に移ってからは数えるほどしかない。
最初、それに伴い驚かされたのは、車による配達である。故郷では、バイクか自転車であった。
都落ちを実感した。また、故郷と異なり、出前をする店も少なかった。
例えば、誰かが突然来訪した時、出前を頼むのが普通で、よく相伴をした。
鮨、蕎麦が多く、洋食や鰻は稀であった。
地元で、それらを探すと、鰻は聞いたことがなく、利用していた蕎麦屋も廃業した。反対に、鮨は配達専門の店が出来た。
そうした中、先日、線路の向こうへ久し振りに行った。
昼時だったので、一軒の蕎麦屋を見付け、入ってみる。
意外なことに、出前の注文の電話が頻繁に掛かる。待ち時間は、約一時間と答えている。
人がいないからか。かつては、都内でよく出前専門の人を見掛けたものである。
(第千百九十四段)