堀切菖蒲園で行なわれている菖蒲まつりに足を運ぶ。
期間中、朝八時より開門されている。花は朝に愛でた方が美しい。
歌舞伎へ行く前に寄る。このため、自宅を六時には出た。まつりの間、菖蒲園への道は出店が並ぶものの、流石に、この時間は静かである。
丁度、訪れた十日は、写生大会で、近所の小学生が七時には集まり、絵を画いているという。
そうした中を回る。時々、画用紙を覗くと、苦戦している様子である。画き難い花であることは確かである。それでも、付き添いの母親は熱心で、あれこれアドバイスをしている。
絵など自由に画くものと思うけれど、世間では違うようである。
絵といえば、浮世絵にも、この風景は残されている。見事な構図である。
朝の内なので、花が朝露で濡れ、色が鮮やかである。浮世絵のそれと変わらない。
昨年は、佐貫の酒仙と夕方に訪れた。その時とはかなり印象が異なる。
今年は人も少なく、ゆっくりと楽しめる。
(第千二十三段)