更に続ける。
現状の婚姻率が低く、結果、少子化、超高齢社会は果たして悪いのだろうか。
ただ、政府見解などから思っている節がないか。政府は、国家安定が仕事のひとつで、極端な話し、社会は変わらないと近年まで考えていた感さえある。
現実はそうでもなく、この十五年近くは激動で、将来が読めなくなっている。人々の不安は増すばかりである。
物が増え、便利になったとはいえ、住み易さから考えれば、逆の結果である。
これは、仏教でいう執着しているためだろう。
今や何気ない日常を過ごすことが、一番の贅沢かもしれない。
空に浮かぶ雲、鳥の囀りなど日頃は忘れているものである。
これらの素晴らしさに気付けば、緊急時、物や金銭が何の役にも立たないことを知る。それはいつか壊れ、なくなるものである。また、墓場まで持っていけないものである。
となると、現在の消費社会で人々は、ただ掌で踊らされているだけで、孫悟空と変わらない。
(第八百三十九段)