新河岸川の小豆沢までの両岸には釣り人が目立つ。水上バスは水を分けて進む。分けた水が両岸に達し、土を舐める。
この辺は川口の清掃職人宅の近くである。また、春に桜草を浮間船渡に愛でに来たけれど、小豆沢発着所よりちょっと行った場所である。
小豆沢発着所に着く。ここで結構降りる。そういえば、荒川に入った頃より、乗客は大分減り、船内は静かになる。人が少なくなったこともあるものの、疲れもあるに違いない。時間調整をした後、新河岸川を戻り隅田川に入る。
隅田川のうち、下流は、これまでにも船上より眺めたことがある。上流は未だない。
神谷、荒川遊園と過ぎる。これから潜る千住大橋は千住の写真家の地元である。
やがて、白髭橋が近付く。ご主人が言う。「ここら辺は関東大震災や空襲でも燃え」ず、どうやらそれは風向きの関係だったらしい。
桜橋に差し掛かる。昨夜観た『隅田川続俤串田戯場法界坊』はここら辺が舞台だったことを思い出す。
老夫婦が下船するため席を立つ。途中、菓子を貰い、その礼を述べる。
ここまで来ると、両国はすぐそこである。
今回、水上バスより東京を眺めた。東京湾付近と荒川と隅田川の上流付近では、その表情は全く異なる。特に、隅田川ではそれが目立つ。
今後も機会があれば、川より東京を眺めるつもりでいる。
(第七百二十四段)