(大丸心斎橋劇場入口:2018年8月4日撮影)
翌四日、帰京する日だが、その前に大阪へ寄る。
芝居である。
正直、えちぜん鉄道の高架になった福井周辺のためだけに、旅をするのも物足りない。
そこで、大阪で、竹之助丈の自主公演があることを知り、足を伸ばす。地方での観劇は初めてだ。
この公演へ行く気になったのは、戦後、演じられていない演目が並んでいたためだ。
開演は十三時からだが、自由席だ。
多少早めに行く必要がある。また、距離もある。
こうした事情で、昨夜に、出来れば、えちぜん鉄道に乗りたかった。
早い列車にしたものの、指定席の変更は出来ず、自由席で、福井を六時五十八分の「サンダーバード4号」に乗る。「第一回竹之助の会」の演目は、『歌しぐれ』、『雷の道行』だ。
前者の作者は故郷田悳氏だ。戦争前、戦争中に活躍した。ある劇評を読み、頻繁に名前が出て来たので、常々、興味を持っていた。ただ、その劇評を書いた人には、良い評価を貰っていなかった。
今回、『歌しぐれ』は七十五年振りに上演される。
この芝居を観たい人が多いのか否かは分からないものの、チケットは完売だった。
来ている人は年配女性が目立つ。東京同様、詳しくはないが誘われて来た人ばかりらしく、上演中、話すのには閉口する。
(第五千四百九十段)