地元には三年前に出来た古民家園がある。とはいっても、民家は一軒しかない。だけれど、毎月様々な行事が行なわれており、昨年、ここで「むいから寄席」も始まった。
その時は足を運ばなかったものの、先月二十四日にまた行なわれたので、噺を聴きに行く。
出演者は、前回同様、らん丈師匠である。また、今回は女性の前座であるこみちさんも出演する。
開始は夜の六時半だけれど、五十分前には着き、準備中のところ、特別に中へ入れて貰う。
畳に座布団が敷かれ、雨戸は閉め切っている。子供の日が近いこともあり、五月人形が飾られている。そういえば、表の庭には鯉幟が泳ぎ、また、門にはらん丈師匠の幟が立てられていた。
前の方の席に荷物を置き、トイレに行く。昼間は暖かかったのに、日が沈むとともに冷えてきた。
トイレから戻れば、らん丈師匠の指導の下、高座を作っている。幕が張られ、照明の点検を行なっている。やがて少しずつ人も集まる。皆、顔見知りなのか、挨拶を交わしている。雰囲気は悪くない。
こうした空間で噺を聴くのも悪くはない。
(第六百二十段)