(二月の歌舞伎座:2017年2月19日撮影)
客席はやはり『門出二人桃太郎』を目当ての人が多く華やかだ。
次の時代狂言は、成駒屋だ。
幕間にロビーに出ると、先日、紀伊國屋寄席に聴きに行った噺家がいる。
高座での芝居の台詞も上手く、妙に納得する。
最後の『梅ごよみ』は、昭和二年に演じられた台本が基本となっ
ており、故永井荷風氏が舞台監督だったという。
往時をつい考える。
物語の運びは、あっさりとしており、高麗屋が主人公を勤める。
どちらかといえば、筋を追うより、中村屋と音羽屋らが演じる辰巳芸者の鞘当が中心となっている。
辰巳とは、江戸城からこの方角にあった深川のことだ。
今では、辰巳芸者の言葉遣いを耳にするのは、芝居くらいしかない。
意地と張りを売りとしていた。
この辺りは、先日、散策した。
路地に入れば、かつての風情も残る。
(第四千九百三十段)