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根津権現社躑躅(ねづつつじけんぶつ)

 四月二十三日、根津神社へ躑躅を見に行く。ここは『東都歳事記』にも出て来る。
 千代田線の根津で下車した人の多くはそれが目的である。普段はない臨時精算所も設けられている。
 自動改札を出ると、そこは年配者ばかりで、通路は狭く、エスカレータもないので、なかなか前に進まない。巣鴨に紛れ込んだ感すらある。
 間を縫い、漸く地上に出ても、様子は変わらない。足の不自由な人も多く、将来この光景が到る場所で見られることになるのか。
 神社までにある商店は稼ぎ時なのだろう、張り紙をし、足を止めさせる。
 境内に入る。『江戸名所図会』での挿絵ではかなり広い敷地である。流石に、今はそうでもないけれど、まず入って目に付くのは楼門である。その左に様々な色の躑躅の山がある。
 ここは何年か前から躑躅の山へ入るには喜捨しなければならない。躑躅の保存のためだという。当初は喜捨箱だったものの、今では喜捨所となり、ふたりの巫女が座っている。行列が出来ている。喜捨を取らなかった頃より混んでいる。
 最近、一部の人に巫女は人気があるので、その種の人ではないかと一瞬思うけれど、年配者ばかりであることを思い出す。
 境内には甘酒や饅頭を売る店も出、繁盛している。あまりの賑わいに、犬と散歩をしていた近所の人も当惑気味である。仕舞いには、犬を抱いて帰って行く。
(第六百十三段)
by akasakatei | 2005-05-05 21:05 | 余暇 | Comments(0)
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