芝居をよく観るけれど、型など、難しいことは分からない。更に
いえば、過去の役者もよくは知らない。
単に、楽しんでいるだけだ。
世には、鑑賞の手引きとして、入門書も多い。ただ、目を通して
も、中には、歌舞伎論を展開する本もあり、辟易させられることもしばしばだ。
そうした折り、終戦から暫くして出版された芝居関係の本を読む機会がある。作者は故本間久雄氏だ。
歌舞伎論、そして、劇評を集めたもので、個人的には、昭和初期の劇評が興味深い。
意外に、新作も作られている。
一般的には、歌舞伎といえば、同じ作品ばかりを上演している印象もあるものの、これに目を通せば、そうでもないことが分かる。
また、見取り狂言ばかりでなく、通しも結構あった感じだ。
今後、歌舞伎は、どうなっていくのか。
つい五年前まで、これほど幹部役者が亡くなるとは思ってもみなかった。若手が奮闘するのか。
(第四千四百七十四段)