国領の世捨て人と杯を交わす約束をしていた。
それを果たすべく、今回は、世捨て人の住む辺りを訪れる。
というのも、娘を連れて来るからだ。
以前より気になっていた小料理屋に入る。女将のいるカウンターだけの店だ。ただ、昼ということもあり、この感じだと、回転を早めるため、断られる可能性もあるので、ランチにする。
尤も、確認したわけではなく、飲めるかもしれない。女将の後ろの棚には、焼酎が並ぶ。
メニューを見ると、干物が中心だ。
世捨て人の娘に対し、女将は、特別に、御飯、あら汁、それに、海苔や果物まで出してくれる。
娘は、こちらに関係なく、御飯やあら汁、海苔のお代わりを所望する。
流石に、三杯目となると、女将も心配し、どこからか御菓子を出してくれる。幼児が喜びそうなものだ。
それにしても、会計の際、娘の分が入っておらず、つい恐縮してしまう。
(第四千四百六十四段)