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文取形(もじのいきおい)

 この文は、下書きの段階では縦書きである。このため、横書きにすると、恐らく細かいニュアンスが違った意味で伝わると思われる。
 それを知っていながら、何故、縦書きにしているのか。
 元々、我が国における文は縦書きが基本だからであり、横書きにすると、それ自体に違和感を覚えるからである。新聞や文芸作品、その多くは縦書きである。
 どうして、ここでは縦書きが出来ないのか。大いに疑問を覚える。
 大学生になり、それまで理数系の科目以外に横書きの文を読んだことがなかった者にとって、横書きの論文ほど読み難いものはなかった。尤も、卒業する頃にはそれにも慣れてしまい、別段、苦にはならなくなったけれど、好ましいとは思っていない。
 好ましくないといえば、前に、佐貫の酒仙にこの文に写真を入れないのか、と訊かれたことがある。
 写真は文の助けにはなるものの、逆にいえば、それは文に力がないということである。確かに、写真を添えれば、この文も読み易くなるかもしれない。だけれど、表現としては写真より文で行ないたい。そうした気持ちでこれを書いている。
(第五百七十七段)
by akasakatei | 2005-03-30 21:02 | 文芸 | Comments(0)
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