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穂庫里(ほこりまう)

 テレビを観ていたら、外人の子供を使ったアメリカ生まれの飴のCMを流していた。飴は巨大なペロペロキャンディの類である。一般的に、この種の飴は一度包装を開ければ、嘗め終わらなければならない。楽しみは一回だけである。それが、この商品では異なるという。好きな時に味わえ、必要ない時は口紅のように仕舞うという。
 これで思い出したのが、落語の『しわいや』である。この中で、ケチな人が増えるおかずを自慢している。それはあまりにも汚い。先の飴も、一見合理そうだけれど、衛生的にはどうか。如何にも、アメリカ的な発想である。日本人には抵抗がある。
 衛生といえば、パン屋はどうか。最近は、セルフ式のパン屋が多い。この種の店は、トレーにそのままパンを盛っている。当然、パンは剥き出しのままだから、人が歩く度に埃が舞い、パンに付着する可能性は否定出来ない。
 これについて、我々は、普段疑問もなく、買って食べているけれど、実際にはどうなのだろう。かつて、栄養士の資格を持っている人に訊いたところ、まず買わないということであった。
 ここで思い出したことがある。小学五年の頃である。給食の後は昼休みを挟んで掃除だった。掃除だから、当然、机を後ろに寄せる。誰も何の疑問もなく、「ご馳走様」の挨拶後に机を動かそうとしたところ、担任がそれを止めた。というのも、未だ食べ終わっていない人もいて、その給食に埃が入るからという理由であった。言われてみれば、その通りである。振り返れば、日常でも飲食店から出る際、上着を着る必要がある時は、無意識にこれを行なっている。この文を書くまで、その切っ掛けを忘れていた。
(第五百六十段)
by akasakatei | 2005-03-13 12:23 | 福祉 | Comments(0)
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