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政音痴(れきしをしらぬと)

 故郷の学級委員によれば、方向音痴は配達や不動産業には向かないと言う。確かに、言われればその通りである。普段は気にしたこともなかったけれど、これは気付き難い。
 その要因を探れば、旧住居表示が消えたこととも関係があるのではないか。これは地方出身の役人が町名に馴染みがなく、自分らに分かり易くしようと数字に置き換えたわけだけれど、評判は今も昔も悪い。特に、昔から住んでいる人間にとっては、何も知らない地方出身者によって、由緒ある名を捨てさせられたことを今も怒っており、未だに分かり易かった旧町名を使っているのが現状である。
 地方出身者によるこの種の行動は、この時ばかりではなく、明治維新にもあった。もっと、地域に溶け込んだ行政を行なわないと、住民は反発するばかりである。
 ここに先日発売された『古地図ライブラリー別冊 古地図・現代図で歩く昭和三十年代東京散歩』(人文社)がある。昭和三十年だから、当然、旧住居表示である。これを見れば分かるけれど、一見、複雑そうに見えるものの、町の特徴がよく現れている。
 例えば、生家の住所は六丁目だったが、かつては赤坂新町だった。また故郷の学級委員、佐貫の酒仙は共に八丁目だが、かつての町名は赤坂新坂町、赤坂表町と各々異なるのは興味深い。
 こうしたことを考えると、新住居表示が如何に合理性ばかりを重視して行なわれたかが分かる。今からでも遅くないので、戻すべきであろう。
(第三百五十二段)
by akasakatei | 2004-08-17 21:13 | 政治 | Comments(0)
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