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聞古琶(どくしょのこうよう)

 前段に続き、文庫を中心とした書物の話しである。
 かつての文庫はそれこそ古今東西の名著が大部分を占めていたけれど、今日では目録を見ても分かる通り、ベストセラーやライト小説が主である。また書き下ろしも目立つ。
 その性格は大きく変わっており、良書が廉価で手に入らないのは嘆かわしい。文庫は学生をその対象にしていたものの、対象が本を読まなくなったこともあるだろうが、逆に、生活が裕福になり高価な本でも簡単に読めるようになったこともあるに違いない。
何はともあれ、そうした良書は図書館や古本屋で探さなくてはならない。本好きにとっては探す楽しみがあるけれども、あまり本好きでない人にとって、それは益々遠くなってしまう。
それにしても、どうして読まないのか。社会人では時間の問題が大きいのだろうが、毎日、営業の数字ばかりでは面白くないだろう。挙句には、行き過ぎた結果、一週間に一度は大勢の前で頭を下げることになるかもしれない。世間に顔は売れるものの、下手をすれば臭い飯の世話になるだろう。
こうならないためにも、心理を理解する必要がある。例えば、小説は絵空事と思うかもしれないけれど、人を知るにはこれほど適切なものはない。このため、一日十分でも読むに越したことはない。
(第二百九十段)
by akasakatei | 2004-06-16 19:52 | 余暇 | Comments(0)
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