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音察家(げんだいながやのふきょうわおん)

 ひばりが丘の印刷屋から聞いた話である。何でも、アパートの隣人から、携帯電話の音が煩いと壁越しに怒鳴られたという。その音というのが、マナーモードでの話だからなかなか興味深い。つまり、その振動が隣人に伝わるということである。アパートの建物自体に問題があるのか、それとも隣人が変わっているのか。以前、そのアパートに行ったことは書いた。古かったのは否めない。だが、ここで採り上げたいのは隣人である。
 その隣人は何でも声優で、その仲間と稽古をしているのか、意味不明の会話が時々聞こえてくるらしい。魔法の呪文らしきものや語尾に特徴がある話し方で、印刷屋を怖がらせている。また、声優は同棲しており、風呂場から嬌声が聞こえ、ふたりでキャラクターの格好もしているともいう。
 ここまでなら第三者にとって笑い話だが、問題はここからで、ゴミを決められた場所に出さないで、窓からそこら辺に投げ捨てており、町内会でゴミの集積に関して費用の徴収があった時も「ゴミが出ないから払わない」と断ったと印刷屋は憤慨する。
 どうやらアパートとは住むに難しい場所のようで、確か、東青梅の地主もそうしたトラブルで引っ越したはずである。
 こうした実情をどう考えるか。自己中心的人物が多い中、どのアパートにもあることなのだろうが、改革が望まれる。庶民はかつて長屋に住んだ。そこは大家と店子の関係があり、何か事が起これば、親身になって店子同士も助け合ったものである。現在の問題は、不動産屋を介しての契約であり、大家と店子でさえお互いに顔も知らないことだろう。これも経済的行動における負の代償のひとつであろう。
 『長屋の花見』は遠い光景である。
(第百八十六段)
by akasakatei | 2004-02-08 15:19 | 社会心理 | Comments(0)
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