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故郷情景学往来(あかさかふどききょうかしょ)

逓信総合博物館に行く。同博物館へは小学校を卒業して以来であるから二十年以上振りである。当時、クラスで切手収集が流行しており、その関係で訪れたのである。
今回はそれとは関係なく、滝平二郎氏のきりえを楽しむためである。「滝平二郎きりえ回顧展~ふるさとの風よ雲よ~」が来月一日まで開かれている。普段、あまり美術には関心を持たない方だけれど、氏の作品は好きである。懐かしい匂いがする。
特に、最近、世の儚さをより感じ、癒しを求めている者にとっては何よりの慰めである。
朝日新聞日曜版に掲載された作品を中心に、絵本、切手などのそれも展示されている。目に付いたのは『モチモチの木』のアニメーションである。原画を上手く処理しており、違和感を覚えさせない。大概、漫画や小説の挿絵は、アニメにするとどこか違うのが普通である。
『モチモチの木』については、小学校二年の国語で習い、また中学時代、国語担当だった鵠沼の校長が、何かの話の脱線で触れたことが思い出される。小学校ではどういう授業だったかあまり覚えていない。作品の記憶だけである。確認したところ、これは故郷の学級委員も同様で、作品の記憶自体さえなかった。
これが中学になると、記憶がはっきりしてくる。直接、試験には関係なかったものの、主人公の弱さと優しさについて、語ったと記憶している。
何はともあれ、子供の頃に触れたものに、今改めて接すると懐かしくなるのは、それだけ年を取ったということだろうが、自己形成を知る上ではなかなか有意義と考えている。
(第百八十一段)
by akasakatei | 2004-01-18 15:14 | 文芸 | Comments(0)
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