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大花火絵宴(すみだがわはなびのたのしみ)

 いよいよ第一会場で花火が始まる。残念なことに、このテラスは第二会場をメインとしているので、あまり観られない。特に正面の建物が邪魔をしている。周りの人も同意見である。爆撃をされているようだなと不謹慎なことを言う人もいる。確かに、その建物の裏でチカチカしていることもあり納得はする。
第一会場に遅れること二十分、第二会場でも始まる。正直、花火の名前と形が一致しない。それでも観ていると楽しい。こういうのは理屈ではないのだろう。 
さっき、近くのおじさんが口にした言葉を思い出す。要は、「花火は音も重要で、この付近のホテルでも部屋から花火は観られるが、音は聞こえず、全く気が抜けた感じがする」というもので成る程と思う。
 何時の間にか、屋形船の提灯の灯かりも消されている。代わりにカメラのフラッシュが焚かれる。気付けば、カメラを構える人がいる。その中には立ち上がる人もいる。それもいい年配者である。被写体をうまく撮りたいのだろう。後ろの人にとっては迷惑であり、幼稚園や小学校の運動会でカメラやビデオを構える迷惑な親を彷彿させる。千住の写真家がこうした現象に関し、どういった見解を持っているか訊いたことはないけれど、道徳心を忘れてはなるまい。
 八時二十分、和火が打ち上げられる。洋火のような色とりどりの派手さはないものの、時を経て、江戸の人が観たであろう花火を目にし、いつまでも大会が続くことを願う。網膜にいつまでも残るに違いない。
(第百十五段)
by akasakatei | 2003-08-10 14:05 | 余暇 | Comments(0)
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