人気ブログランキング | 話題のタグを見る

御地流麦酒(さいさきの)

 一月二十九日、名鉄空港線が開業した。常滑から中部国際空港までの四・二キロである。これに乗るべく、二月四日、仕事が終わった後、東京二十時三十三分発「のぞみ七十七号」の乗客となる。
 今回の予定は、この日は名古屋で泊り、翌日、始発で空港線を往復し、その後、JR加古川線の加古川付近の高架化、そして、博多まで足を延ばすつもりでいる。
博多では数日前に福岡市営地下鉄七隈線が開業したばかりである。こうなると、時間的に、博多でも一泊せざるを得ず、多少荷物が必要となってくる。いつもより大きな鞄を持って来た。昨年十月にも、今回と似た旅をした。その時は、林家こん平師匠の言葉を借りるなら「帰りの鞄には若干の余裕」がなく、土産物を持って帰るのに苦労をした。
 そうした経験より、大き目の鞄を持って来たものの、車内ではどこに置こうかと思う。網棚に上げるべきなのだが、金曜のこの時間の新幹線は会社員で満員であり、網棚から下ろすのは周辺の客に気を遣わなければならない。となると、座席の下だけれど、今度は足を置く場所がない。迷った末に、網棚に乗せる。
 東京を定刻に発車する。あちこちから、缶ビールを開ける音が聞こえる。隣に座った会社員も例外ではない。年齢は四十半ばくらいか。ビジネス書を読んでいる。
 缶ビールを座席供え付けのテーブルに置き、視線は本に落としたままで、ビールに手を伸ばす。よく落とさないものだと眺めていると、電車が揺れた際に勢い良くビールが床に落ちる。それは最初に鞄を置こうとした場所である。もし、置いたままなら完全に被害に遭っていただろう。そういう点では、幸先の良いスタートである。
(第五百二十六段)
by akasakatei | 2005-02-07 21:22 | 余暇 | Comments(0)
<< 開港前(ちゅうぶこくさいくうこ... 二目勉強会(はやおきはさんもく... >>