寛永寺を出ると、十六時だ。先ほど、豆富料理店近くで見た銭湯で汗を流す。酒仙と裸の付き合いをする。酒仙とのそれは、小学校での校外教室以来だ。
時間帯の関係もあるけれど、先客はふたりしかいない。浴場内の絵は、ヨットが描かれ、洋風だ。
本来なら、この後、杯を交わしたいところだけれど、前日より、日本橋三井ホールで始まった「ダイナースクラブ アートアクアリウム展2012」へ足を運ぶ。
土日の三越前付近は、それほど込んでいないにも関わらず、ここの中は若い層で一杯だ。
金魚を泳がすことにより、様々な景を演出している。ただ、撮影が自由なこともあり、水槽の前で立ち止まる連中が多く、なかなか先に進まない。入口の時点で行列だ。
観察していると、スマートフォンで泳ぐ金魚を写すわけだから、綺麗に撮影するのはかなり難しい。己のことばかりを考えている若者に疲れを覚える。
三十分ほどで出、近くの島根料理店に入る。
何回か食べたことがあるものの、夜は初めてだ。女性スタッフが浴衣で出迎える。
(第三千二百七十七段)