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下層人一寸地獄(いせかいのひとびと)

 先の続きである。
 国領の世捨て人が初めて事務所に行った時、その散らかり具合に驚いたという。書類棚はなく、書類は机の上に置かれたままで、仕事の基本である誰にでも分かるという視点が欠けていると感じた様子だ。
 更に、額に入れられた営業許可書は傾き、掲示板に張られた注意も剥がれ掛かっていたらしい。
これでよく回っていると、話しを聞いて妙に感心する。
ところで、ここまで世捨て人が働いている会社の業種に触れなかった。それは肉の卸だ。当然、現場の人間も職人気質となる。
その職人の話しだが、何でもホテルのレストランに届けた際、料理長より肉の切り方を料理人らに見せてくれと言われ、ゆっくり切ったところ、それでも目が追い付かず、誰もが分からなかったらしい。
職人曰く、「これだから、週休二日は困る。」と言っていたようだ。一応、株式会社であるにも関わらず、その自覚は希薄みたいだ。株式会社と知らない者もいたと聞く。
また、世捨て人によると、事務所の現場の仲は悪く、遮光器土偶のような眼鏡を掛けた職人が、間違いを発見する度に、わざと大声で「何度も間違え、学習能力がないねえ。」と言って行くとのことだ。
(第三千二百三十二段)
by akasakatei | 2012-07-06 09:45 | 社会心理 | Comments(0)
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