花を愛でるには、朝方が良い。とはいえ、他人と待ち合わせて行く場合には、難しいことも多い。
そうした点、梅雨に咲く紫陽花は、雨が降っていれば、それほど萎れることもない。
六月十六日午後、学生時代の友人と白山神社において、紫陽花を愛でに行く。
午前中、銀座で家人に頼まれた用があり、それを済ませた報告をしようと、PHSを使ったところ、通話が出来なかった。以前にも、同様の故障で修理に出したことがある。仕方なく、秋葉原のショップに寄る。
このため、白山に着いたのは十三時過ぎだ。待ち合わせまで一時間しかなく、昼食を済ませるため、近くの喫茶店に入る。
昔ながらの喫茶店だったものの、店内には、リクルートスーツの女子大生が多く、主人と談笑中であった。
コーヒーを飲み終わった頃に、河辺の地主が現れる。この日、他に参加するのは千住の写真家だ。
目的地の白山神社まではすぐである。
(第三千二百十三段)