先に、国領の世捨て人が勤務していた会社の前大株主が自転車に乗っているとした。
世捨て人によると、大株主だった頃は、夜中の三時まで残業していた社員が、翌朝、報告に行った際、「もっと頑張って貰わなければ困る。」と言っていたという。
これを聞いた社員は、何を頑張るのかと思い、暫くして、辞めてしまったようだ。
また、別の話しでは、コンサルタントが数字について、「頑張ればこれだけ行きます。」と言ったところ、最悪のことを考えず、「最低この数字はやるように。」と指示を出したらしい。
これで見返りがあれば良いのだが、実際には、社員は、かなり低い給与で働かされ、そうした一方で、大株主自らは、全国あちこちに、土地を買い、馬まで持っていたとのことだ。
尚、報酬は、社員給与平均の二百五十倍との話しだ。
それだけ貰っていながら、自転車とはどのような生活をしていたのか。
更にいえば、辞める時、株主が代わることに関し、社員への説明はひと言もなかった、と世捨て人より聞く。
(第三千百六十九段)