東京駅で降りると、風が冷たい。
昼飯時ということもあり、余計、空腹を感じる。
八重洲口に回り、いつも行く鮨屋へ入る。
杯を傾ける。
予約していたらしい家族連れの客が来る。小さい子供もいる。店主は、子供の分に対しては、やや小さめに出す。
杯を傾けていると、鯨のベーコンを出してくれる。珍味だ。
休日の昼より飲む。これこそ、何気ない幸福と思う。
東日本大震災により、そうした幸福が奪われた人は多い。
前日、首相が福島第一原発の事故に関し、事故収束とした。どうして、そのように言えるのか不思議だ。
原発相の会見でもよく分からず、東電の社長も他人事だ。
結局、住んでいた人はどうなるのか。
何れにしろ、我が国は、終戦の時もそうであったが、棄民しか考えていないのだろう。
国民を生かすより、見殺すに違いない。
実際、以前より問題となっている非正規社員の雇用も、根本的な手を打たず、何の策もない。富裕層にしか目を向けておらず、国がおかしくなっていることにも納得する。
(第三千五十二段)