六月に出席した友人の結婚式の引出物は、カタログギフトであった。何にするか迷った末、お金があっても切っ掛けがないと行なわないであろう乗馬とする。
元来、関心はあったけれど、些か、敷居が高かった。それに、馬は食べる物と心得ている。
台風の近付いている九月三日の早朝、鶴川の乗馬クラブへ足を向ける。
まず、プロテクターやヘルメット、ブーツなどを合わせる。持参したのは、軍手くらいだ。
ロビーで流されたビデオを眺めながら手順を覚えていると、教えてくれるスタッフが現れる。未だ、若い男性だ。乗馬はリズムという。
今回、乗る馬は六歳のサラブレッドで、人間でいうと二十歳前後だ。元競走馬とのことで、有名騎手も乗ったらしい。引退後、去勢され、ここで余生を送っている。
外に出、馬と触れる。顔を撫でる。意外と大人しい。それでも、クラブのスタッフが来ると、餌を貰えると思い、やや前に出て来る。
(第二千九百六十三段)