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得付士(しろのえん)

年忘れに国立演芸場中席に行く。その帰り、故郷の学級委員と忘年会を行なう。場所は学級委員宅である。演芸場からだと歩いて二十分ほどである。
鍋を囲む。キムチ鍋である。初めてである。キムチを日常まず口にしない。食卓には出てこない。飲みに行って誰かが頼んだのを摘むだけである。年に一回食べるか否かである。たぶん、これは東京で生活している分にはキムチを必要としないからであろう。よく言われるように、キムチは朝鮮における風土と気候から生まれた。東京はそれほど寒くもなく、野菜にも不自由しない。率先して食べる理由がないのである。また、辛いものが特に好きというわけでもない。どちらかといえば、極端な味付けより繊細な味わいが好みである。このため、キムチをベースにしたそれを口にしたことがなかった。
鍋だと酒が進む。かなり飲んだ頃、学級委員が大掃除をしていて、懐かしいものが見付かったと言う。見れば六年生当時の名札と記念写真である。写真は兎も角、名札は珍しい。二十四年前のものである。誰が書いたのか力強い字である。
  また、写真は六年生に限らず、四年や五年の頃のものもある。それらは遠足や学芸会、校外教室の時に写され、当然、覚えている顔もいれば、誰だったか分からない者もいる。クラス会が開かれることはないので、今後二度と会わない者ばかりである。それだけ、クラスの仲が悪かったということだろう。そのような中、学級委員や佐貫の酒仙に時を経て再会出来たのはこれも何かの縁に違いない。多感な時期を共に過ごせなかったのは残念だけれど、これからも末永く付き合っていきたいものである。
(第四百八十六段)
by akasakatei | 2004-12-29 21:57 | 余暇 | Comments(0)
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