ゲートの外に出る。
ここは、猿島航路の発着所が隣接する。往復してみようと思う。
次の便は十三時半なので、三十分ほど時間がある。近くの喫茶店で、海軍カレーの昼食を済ます。観光地には珍しく、愛想が良い。
発着所に戻ると、行列が出来ている。子供が目立つ。
このところ、足を向ける場所に子供が多いのは何故か。少子化は間違いではないのか、とさえ考える。同時に、親の顔を見て、職業を想像する。
満員の客を乗せた船は十分で運ぶ。
船から、猿島の砂浜で遊ぶ人が見える。泳ぎやバーベキューなどだ。かつて軍の要塞だったとは思えない。
島の南側に入る船から見た瞬間、すぐに戻りたくなる。
とはいえ、戻りの船には既に長い列がある。
一時間ほど、島で過ごす。
南北に長い島だから、乗り場と反対側へ進む。
ここは、砂浜を離れると、今でも自然が残る。そうした中に弾薬庫やトンネルが残る。
ここは暗く、砂浜とは別の世界だ。
展望台まで来ると、何故か、十代後半くらいのコスプレ集団がいた。今は、他に人がいるけれど、ひとりで会うと、どうだろうか。
ところで、この島は無人島で、夜を過ごすことは禁じられている。万が一、乗り遅れた場合は、特別便で迎えに来るとの案内が出ている。ただ、特別料金とある。察するに、チャーター便と同じではないか。
(第二千五百九十六段)