一月四日、新橋演舞場における初春花形歌舞伎の夜の部へ足を運ぶ。
今回は若き成田屋、澤瀉屋一門、萬屋らの出演である。
演目は『七つ面』、『恋飛脚大和往来(封印切)』、『弁天娘女男白波(白波五人男)』である。
これらの中で注目していたのが、歌舞伎十八番のひとつの『七つ面』である。昭和五十八年以来という。これは脚本が残っていないことが大きい。絵のみで伝わる。脚本は今回改めて書かれた。演じるのは若き成田屋である。
観た印象だと、歌舞伎十八番でも演じられないものも多く、これを機に演じられることを望む。
『恋飛脚大和往来(封印切)』は萬屋である。上方の作品であり、上手く演じる。雰囲気が合っている。
『弁天娘女男白波(白波五人男)』は若き成田屋である。錦絵的である。稲瀬川勢揃いの場が特に感じる。
右隣りに座った夫婦連れは、見慣れているらしく、幕間にかなり注文を言っていた。
このままでは廃れるという。
(第千九百九十一段)