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野州厄落巡礼食(とちぎみそぎたびしょく)

 入った店は割烹であるものの、壁に張られた札を見れば親子丼から始まって鰻、寿司まである。こう色々あると、大衆食堂の感さえしてくる。何にするかと考える。海から遠いので魚介類は敬遠するつもりだったが、かつ丼や鰻もどうかと思い、結局づけ丼にする。本来なら民俗学的探究心より、第七十六段で触れた通り、握り寿司をつまむべきなのだろうが、そうした気分にならないのは不思議である。先日広島に行った時(第八十六段)も、他に適当な店がなく仕方なく寿司屋に入ったが、印象に残っているネタは有名な蝦蛄と穴子、それに白身か。怪我の功名というのか、広島でのその一旦が分かったものの、率先して入る気はしない。
 店には地元の顔見知りばかりが集まっており、栃木訛で交し合っている。店の者も家族なのか、「のど自慢」を見て客と冗談を言い合っている。こういう場合、旅人は何気なく観察する。入口にはバイト募集の張り紙がある。察するところ、高校生か大学生の娘に手伝わせている雰囲気である。何しろ、エプロンをしていない。
 店を出、十二時三十五分の快速で新栃木に向かう。新栃木に用があるわけではない。ただ、都内に急いで戻る必要もないので、もうちょっと旅気分でいたいからである。
 ボックス席の車内は日光に向かう人で込んでいる。どこからか、駅蕎麦の話しが聞こえてくる。しかも箱根そばである。どうやら小田急沿線から来た人のようである。ついさっきまで、都内にいたのに妙に懐かしさを覚える。
(第九十九段)
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by akasakatei | 2003-06-25 13:44 | 余暇 | Comments(0)

野州厄落巡礼大平下(とちぎみそぎたびおおひらした)

 ここで時刻表と地図を用意している賢明な読者ならば疑問を抱くに違いない。というのも、大平下は栃木より、ひとつ高崎寄りだからである。栃木を目指していたのに、おかしいと思われるであろう。これは、乗っているうちに気が変わったためである。つまり、高架化された地方都市の場合、その印象は大同小異であり、それならば、大平下と新大平下周辺を散策した方が面白いと判断したからに他ならない。綿密な計画を立てた旅も良いが、時間に余裕のある関東近辺ならばこうした旅も一興であろう。
 新しくなった栃木を過ぎ、十一時四十四分に大平下着。休日のためか無人である。案の定、無人駅で駅前には交番は勿論店もない。観光案内図があるものの、方角的にやや分かり難い。そこで、下車した地元の主婦に訊ねると、親切に道順を説明してくれる。どうやら、徒歩十五分ほどで目印はぶどう園という。ところが歩き出して気付いたのだが、あちこちにぶどう園がある。そこで、道を折れるよう言われた地点では、人がいる限り確認することにする。
 ふたり目は農作業から食事に戻る人であったが、この人は左に注意しろという。気にしてしばらく進むと、踏切音がする。こうなれば問題はない。その方向を目指すと、いくつかの飯屋が見えてくる。駅で時間を確認後、そのうちの一軒に入る。新栃木行の快速まで三十五分ほどあるので、ちょっとしたものが食べられるだろう。
(第九十八段)
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by akasakatei | 2003-06-20 13:43 | 余暇 | Comments(0)

野州厄落巡礼往(とちぎみそぎたびいき)

 皐月は季節の変わり目というわけでもないだろうが、体調が優れず、医師の門を叩いてばかりいる。それも様々な科で、週末は検査で忙しい。振り返れば、脳神経外科のCT、歯科のレントゲン、内科における肝臓の血液、エコー検査である。この他にも耳鼻咽喉科にも通い、今度の週末は眼科に行く予定である。
 こうなると、流石に厄落としを考える。そこで二、三日前には思ってもみなかった栃木に日帰りで行くことにした。卯月に栃木は高架化されたと記事で読んだ。栃木県といえば、最近では餃子で有名な宇都宮が注目を浴びている。県名と同じなのに、やや影の薄い栃木に関心を持ったこともある。
 栃木はJR両毛線と東武日光線が通る。そこで行きはJR、帰路は東武とする。
 二十五日、新宿より埼京線で大宮に出、そこより東北線と考えるが、埼京線が工事のため運休したこともあり、田端経由で東北線に入る。改めて、赤羽線の重要性を知る。この迂回で二十分は余計に掛かったに違いない。急がない旅とはいえ、最初から波乱含みである。
 赤羽十時十七分発の宇都宮行に乗車。四扉車なので、ちょっとそこまで行く雰囲気である。だが、両毛線との接続駅小山には十一時二十四分着なので一時間以上乗っていないといけない。車窓は典型的な田園であるものの、利根川は西で暮らす者にとっては珍しい。
小山より二十八分発の高崎行に乗り換える。両毛線のホームが離れていることもあり、乗り慣れない者には四分では辛い。
ここより、三個目の大平下を目指す。こういう時でなければ、下車しそうもない駅で見知らぬ町を歩きたい。
(第九十七段)
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by akasakatei | 2003-06-14 13:42 | 余暇 | Comments(0)

故郷情景国際化(あかさかふどきいこくばなし)

 上方では一時、新型肺炎感染者の台湾医師が各地を旅行したということで大騒ぎであったが、空港や検疫で見逃したことによる失敗は大きい。これについては、想定外のケースと公的機関は発表している。危機管理に対する甘さがあったのではないか。何しろ、対象は異人である。価値観が違うわけである。常識外の行動をとるものと考えておくべきだったろう。日本人同士でさえ、驚くべきことを行なう世の中である。大きな視点が必要である。そういった意味で今回被害にあった企業が異人に補償を求めるのが当然に違いない。
 それにしても、かなり前は国際化という言葉をよく耳にしたが、今は聞かない。特に、国際化になった気もしないがどこにいってしまったのだろう。国際化とは本来先のようなことを指す。外国語が話せることではない。そうした感覚を養うには幼少時代が大切なことは確かである。
 故郷では大使館が多いこともあり、日常的に異人はよく目にしたものである。我が家の向かいに建つ芸者が大家をしていたアパートでは黒人やアジア系の人が出入りをし、家賃を滞納していたようで、大家が取り立てによく行っていた。また、幼稚園の頃より、クラスには必ず異人や帰国子女がいたものである。接すると分かるが、感覚が本当に違う。
 こうしたことを経験していれば、今回の件は防げたと思われる。
(第九十六段)
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by akasakatei | 2003-06-06 13:39 | 国際 | Comments(0)