十二月七日、国立劇場へ『遠山桜天保日記』を観に行く。よく知られている「遠山の金さん」の歌舞伎である。
演じるのは音羽屋である。
意外だけれど、この演目は復活狂言である。とはいっても、江戸以来というわけではない。半世紀振りである。
このため、ここ数年、音羽屋が復活させたものよりは洗練されている。
やはり、虫干しはしなければならない。
これまで音羽屋が手掛けたものについても、近い将来に演じられれば、印象は変わるはずである。
これが歌舞伎にとっても財産となる。
それを望む。
さて、芝居に関しては、年忘れということもあり、理屈抜きに楽しめるものとなっている。某女子大が団体で来ており、上演前は「寝てしまう。」と言っていた学生が起きていた。
客席を見回しても、いつもなら、何人かは寝ているのだけれど、この日は珍しいことにいなかった。
(第千九百六十六段)