六月七日、歌舞伎座夜の部へ足を運ぶ。
演目は、『義経千本桜(すし屋)』、『身替座禅』、『生きている小平次』、『三人形』である。
これらの中で注目していたのは、高麗屋による『生きている小平次』である。
大正に初めて上演された新歌舞伎である。怪談仕立てであり、出演する役者が三名しかいないのは珍しい。
今回の上演は昭和六十二年以来である。
珍しい手法によるためか、それとも内容の問題か、幕が下りても拍手が少なかった。
他の演目では、松嶋屋の『身替座禅』が印象に残る。最近、松嶋屋の出る芝居は、その存在だけで、期待を抱かせる感じがする。
『義経千本桜(すし屋)』は初めて歌舞伎を観た日の演目に入っていた。以来、何回か観る機会があった。今回は播磨屋であった。
『三人形』は初めて観た。
萬屋、京屋らの舞踊である。
最後が美しく決まる。
(第千七百六十六段)