久し振りに、学生時代に連載されていた浦沢直樹氏の『YAWARA!』(小学館文庫)を読み返す。
今、目を通しても、古さを感じないのは何故か。
確かに、所々、その当時の匂いはするけれど、違和感はない。むしろ、明るささえ感じる。
その頃は、丁度バブル経済に当たる。
専攻は社会学だったものの、社会学が当然とする社会変動を感じることはなかった。
誰もが、経済繁栄は続くものと思っていた。
時代が動き出したのは、それから数年してからである。
学生時代に学部で一緒だった友人らに再会すると、必ず時代の話しになる。出来れば、混沌とした現代に、学生時代を送りたかったというのが多い。
バブル経済以降、ソ連の崩壊による冷戦の終焉、失われた十年、経済のグローバル化からの格差社会、テロ問題、ネット社会の拡大など、従来の価値観を覆す出来事が並ぶ。
社会学徒ならば、そうしたものを分析したいのは当然であろう。
(第千七百二十段)