国立劇場へ十月の歌舞伎を観に行く。
独立行政法人になって以降、国立劇場は訪れる度に変化していく。今回から開演が三十分早くなった。
演目は、『平家女護島(俊寛)』と『昔語黄鳥墳(うぐいす塚)』である。高麗屋が演じる。
それにしても、今月は、都内の三箇所の劇場で『平家女護島(俊寛)』が行なわれる。
国立劇場での『平家女護島(俊寛)』の特徴は、「鬼海ヶ島の場」の前に「六波羅清盛館の場」を付けたことである。
珍しいものである。尤も、その分、演じられた回数が少ないこともあり、洗練されていない面もある。
反面、「鬼海ヶ島の場」は洗練されており、その差を感じる。
もうひとつの演目の『昔語黄鳥墳(うぐいす塚)』は、復活狂言である。大劇場での上演は昭和四年以来で、最近、上方芝居に力を入れている若き高麗屋が好演する。
劇中、鼓、太鼓、謡も見せる。
復活狂言としては良かった。
(第千五百十七段)