今月の菓子である。
前月同様、涼味にする。ここで、ひとつ訂正しておかねばならないことがある。
梅すいれんを麩饅頭としたが、これは誤りで、梅すいれんは葛饅頭であった。
分かり難くなるため、ここでは両者を比較することにする。
まず、葛饅頭は、餡が見える。対して、麩饅頭は、生地が麩のため、中は見えない。また、生地には海苔が入っており、磯の香りがする。
菓子自体は以上だけれど、どちらも笹で包まれている。
このため、涼味がする。
口当たりは、葛は滑らかで、麩は肌が細かい。
どちらも、夏向きの菓子である。
一般的には、和菓子では水羊羹が頭に浮かぶものの、時には、変化球を楽しむのも面白い。
尤も、その水羊羹もアイスクリームと比べれば、たぶん、ひと夏で賞味される数はかなり少ないだろう。
(第千三百八十七段)