十一月に入った。三日は十三夜であった。気付いた人は少ないに違いない。
そして、四日は一の酉だった。今年は三の酉まである。火事が多いという。
花暦に目を向ければ、菊である。旧暦の九月九日が重陽の節句である。新暦だと、今年は十月三十日になる。
この時期、菊花展が行なわれている。
早朝に湯島を訪ねてみる。訪れている人は少ない。近所の人が散歩しているくらいである。
境内では、神主が掃除をしている。ジャージ姿である。
おかげで、ゆっくりと眺められる。
どの鉢も丹念に作られている。
ここでは、毎年、大河ドラマの菊人形も飾られる。
見たところ、ポスターとかなり異なる。草臥れた感じである。
これから、湯島天神は、七五三、初詣、受験、梅の季節を迎えることになる。そういう意味では、この時間は嵐の前の静けさといえるかもしれない。
(第千百六十三段)