八月十九日の土曜日、松江へ向かうため、新横浜を六時十八分発の「のぞみ一号」に乗る。時間的には、岡山より伯備線経由で行った方が短縮になる。
それ故、いつも使っている経由なので、今回は変えることにし、山陰本線と北近畿タンゴ鉄道を使うことにする。
松江に足を運ぶのは十年振りである。目的は、四月に一畑電鉄が一畑電車に社名を変え、どのように変わったかを知ることである。
京都着、八時十六分。ここより、九時二十二分発の「はしだて一号」で天橋立に向かう。北近畿タンゴ鉄道に乗り入れる電車である。
この待ち時間に昼食用の駅弁を探す。「はしだて一号」は特急だけれど、今や、ひとりの乗車時間が短いこともあり、車内販売のない特急もある。食べ物を確保するに越したことはない。
構内を探し、柱で分かり難い場所に位置する売店で鯛めしを購入する。渡される際、年配女性の販売員より「おおきに」と言われる。こうした言葉を聞くのは久し振りである。
この弁当で、まず良かったのは昔ながらの包装と器である。中身は、塩の利いた鯛が入っており、また、豆類や茸型の里芋など、素朴ながらも懐かしいものであった。
(第千九十段)