昨年は花の名所を訪れた。今年は忙しいこともあり、他所の庭先で楽しませて貰っている。最近は、道端で他所を覗いていると、怪しまれるので、横目でしか楽しめないのが残念である。
それでも、これまで気付かなかったところに様々な花が咲いており、見ていると嬉しい気持ちになる。
こうした何気ない幸福が今では一番難しい。察するに、マンションや団地、アパートなどで暮らしていると、こうした感覚からは遠くなるのではないか。
土いじりに関して、故郷の家にも小さいながら庭があり、そこに椿や紅葉、山茶花などが植えられていたことは書いた。根付いていたこともあり、季節毎に楽しませてくれた。
また、花の思い出については、小学校低学年の頃、学校近くの花屋が出張販売に来て、ヒヤシンスやラッパ水仙、クロッカスなどの球根を買った記憶がある。
放課後、一列に行列を作り、なかなか順番が来ず、その間、落とさないように、お金を握り締めていた。
その出張販売もいつしか来なくなった。
(第九百五十八段)