坐禅後、上野国立博物館で開かれている「北斎展」に行く。
この展示は人気があるようで、最終日が近付いたこの日、昼過ぎだったこともあり、入館するまでに四十分待ちである。愛知万博でも待たされたけれど、ここもまた見たい人が多いようである。
どうも、これまでの経験から察するに公的機関が行なう場合、値段が安いからか、人が集まるようである。北斎にこれほどの人気があるとは考えもしなかった。
ところで、今回、目的は「富嶽三十六景」だけれど、期間中、常に全てが展示されているわけではない。このため、一部に触れられるだけである。
四十分以上過ぎ、漸く館内に入れば、人ばかりで作品をゆっくりと鑑賞出来ない。特に、浮世絵には人が集まっている。
集まった人々は口々に、「北斎は広重と比べ、木が悪い」や「これは何度も摺っていて、色々なものが残っている」などと話している。
絵そのものには、解説がないので、なかなか興味深い。それにしても、世の中、思った以上に絵に詳しい人は多いようである。また、絵を見るには、ある程度の古典の教養が必要なことも実感する。
(第八百二十六段)