六月以来の早朝寄席に足を運ぶ。落語ブームと言われて久しいけれど、これまで以上の客入りである。
噺家もこうしたブームを大切にしようとしているのか否かは不明なものの、開場より二十分ほど早く着き、前で待っていると、チラシの整理をしていた女性噺家の林家ぼたんさんが中から出て来て、「寒いでしょう」とロビーで待たせてくれる。
このぼたんさん、高座で、勤務先によく行くと触れ、帰り際、見送りをしていたので、礼を言っておく。
今回、他の出演者は林家久蔵さん、入船亭扇里さん、古今亭朝太さんらである。この三人のうち、扇里さん以外は前にも聴いたことがある。
開演になり、久蔵さんが『尻餅』を始めると、前に座ったふたり連れの年配の女性は大笑いをする。
余程笑えたのか、最後には御捻りを投げる。中には千円が包まれている。すぐ後ろの席だったので、包むところが見えた。
二つ目にとって、これは大きな励みになるだろう。客席からの反応は一番に嬉しいものに違いない。
(第八百三段)