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筋交宙乗劇(すとくまう)

国立劇場に『貞操花鳥羽恋塚』を観に行く。
これは鶴屋南北の作品であり、顔見世用に書かれたものである。見所は江戸以来という筋交いの宙乗りである。
席に座れば、いつもは花道上にある宙乗り用のワイヤーが、花道下手から上手側の座席奥へと伸びている。
また、今回、仮花道も設けられている。
宙乗り、仮花道と観客が喜ぶ趣向となっている。
幕が開く。この話しは『平家物語』から題材を採っている。登場人物も多く、オムニバス形式で、筋を追うよりも、歌舞伎の持つ美を楽しむ作品となっている。
このためか否かは知らないものの、結構、寝ている観客がいつも以上に目立ったのは何故か。
尤も、初演以降、長い間、上演されることはなく、昭和五十五年に同劇場で上演された記録だけが残っているという。
つまり、観客の受けが良かったとはいえず、作品自体が練られていないともいえる。
国立劇場は、通し狂言と復活狂言を目的としている。これにより、忘れられた作品が現代に甦り、また時々掛けられることを願う。
(第七百八十段)
by akasakatei | 2005-10-19 22:28 | 文芸 | Comments(0)
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