来月の国立劇場における予約した歌舞伎のチケットを取りに行く。国立劇場は隼町にある。故郷とも近く、空を眺めると、住んでいた頃を思い出す。
我々は何のために生きているのか、と上を見ながら思う。
現代社会を生きていくことは厳しく、多くの人はストレスを抱え、健康と引き換えの感さえある。
このような診察券が勲章代わりの社会は疑問である。
どう考えても、人々は地位、名誉、金のためにしか生きておらず、そこには文化の匂いはない。
これだけの人生、何を楽しみとしているのか。
また、自分らしく生きている人はどのくらいいるのか。
他人より面食らう指摘を受けることもある。
ある人は、普段、おっとりしているので、お利口さんに見られる眼鏡を掛けている。このため、遣り手と言われるようで、上司より能力以上の仕事を押し付けられ、困っている。
更に、別の人は外では穏やかな性格と言われているようで、実際の本人は家では結構怒っている様子である。
こう考えると、我々は誰もが人生劇場における役者で、一生、誰かに理解されることはないのだろう。
(第七百五十七段)