原宿にある浮世絵太田記念美術館で開かれている「特別展 開館二十五周年記念 太田コレクション 歌川広重のすべて」に足を運ぶ。
これは四月から六月まで行なわれており、各々第一部、第二部、第三部となっている。
見たのは五月の第二部である。これは版画となっている。
この美術館には前にも訪れたことがある。その頃は、それほど江戸に関心もなく、本当に入っただけで、入場料の九百円が高いと思ったものである。それが今回、入場料は変わらないのに、それほど高いと思わなかったのは関心があるからに違いない。
関心を持ったのは「東都名所」である。「名所江戸百景」はよく展示され、また文献も出版されているものの、「東都名所」については文献でもほとんど目にしたことはない。勿論、展示も見たことはない。この機会を逃せば、いつ見られるか分からない。
実物を前にすると、その鮮やかさに目を奪われる。だけれど、一番に感じるのは懐かしさである。これが、歌川広重の特徴である。何時間いても飽きることはない。
帰りには資料として、二千円で展示解説の『歌川広重 版画の世界とその画業』を購入する。
(第六百三十三段)