テレビが壊れた。朝起きて、スイッチを入れたところ、屁の状態である。前日、画面が濃くなったり、薄くなったりしていたことは知っている。まさか、このように早く、映らなくなるとは思ってもいなかった。音を聞いていても、ラジオと比べ、映像が主なので、何を伝えたいのかよく分からない。伝達手段としては、これでは役に立たない。
こう考えると、ラジオの伝え手は映像がない分、工夫しないと聞き手にはなかなか伝わらないことに気付く。
それにしても、最近のテレビは壊れやすい。我が家のテレビ史を振り返ると、白黒から初めてのカラーテレビを買った時は、十三年ほど使った。これは故郷から越したと同時に買い換えた。
買い換えたテレビは、すぐにスイッチが壊れ、仕方なく、コンセントで点けたり、消したりしていたものの、これは十年近く観た。
その後、入って来たのが今のテレビである。これは五、六年前に買った。それが、叩いて直す間もなく、電器屋の世話になる羽目になる。
ある情報によれば、製品を長持ちさせることは今の技術で可能という。ただ、それではメーカーが儲からないために、わざとすぐに壊れるようにしているらしい。そこには消費者の視点はなく、利益優先ばかりである。
正直、かつてあった作る誇りはどこにいったのか。やがて愛着との言葉も辞書から姿を消すのかもしれない。
(第六百九段)