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南千住桃見(うづきついたいけん)

 九日、この日は佐貫の酒仙や川口の清掃職人らと上野へ夜桜に行く予定である。四月の江戸年中行事追体験である。幸い前日と違い、風もなく穏やかな日和である。
 夕方からなので、昼間は、これもまた追体験で南千住の素盞雄神社へ桃見にでも行こうと思っていたところ、故郷の学級委員から連絡があり、渋谷で一時に四ヶ月振りに杯を交わす。
 昼だからか、酔いの回りが早く、三時過ぎに別れ、上野に向かうものの、時間に余裕があり、当初の予定通りに桃見を行なう。
 桃見は梅や桜ほど一般的でない印象を持つ。確かに、それらと比べ、名所も浮かんで来ない。
江戸では桃見はよく行なわれ、桜と異なり、酔っ払いがおらず、女性や子供でも安心して遊べたという。『江戸名所花暦』では中野の桃園の他に数ヵ所、また『東都歳事記』でも同様に何ヵ所かが記されている。
 残念なことに今日ではこれらは見る影もなく、都内で桃の名所を探すのは難しい。そうした中、珍しく桃見が出来るのが、これから訪れる素盞雄神社である。
 赤や白、桃色などの様々な花が咲いている。旧暦ではあと二日で桃の節句である。神楽殿や参集殿、そして境内には雛人形が飾られている。何段もの雛人形である。
 やはり、年中行事は現実に即した旧暦で行なうべきだろう。心なしか、人形の顔も日差しの中で嬉しそうである。
 また、境内には大銀杏や桜もある。時々、桜から花弁が散る。しばし、佇む。
(第五百九十九段)
by akasakatei | 2005-04-21 22:02 | 余暇 | Comments(0)
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